2019.03.05
中央線西荻窪駅近、1分の店舗を構える草木染めと手まりのお店、テマリシャスです。
家庭画報に連載中の「祈りの宿る手毬暦」の4月号が発売中です。
4月号のテーマは「桜」でした。
桜と聞いて思い浮かべる景色はありますか?
様々な人生の岐路のシーンに、自分と桜の風景が重なっていませんか?
咲き満ちて こぼるゝ花も なかりけり
高浜虚子
桜が熱狂的に日本人に愛でられるようになったのは、満開の様と散っていく儚げな様の美しさでしょうか。
今回の山西先生の解説をじっくり読みました。
その散る前の、満開の一瞬、「今」を詠んだものとのこと。
その今にも花びらが溢れそうな姿がこの句を読む人のほとんどが容易に想像できるのも幾度となく、桜に心を動かされ、人生の節々に桜が生きていたからでしょう。
「今」に視点を向けることで始めて、「過去」と「未来」が繋がります。
この短い俳句の中に時間の視点が生まれていて、なんて日本語は豊かななんだろうと思いました。
桜の「さ」は米を、「くら」は御座を意味し、豊穣の神が宿るという。満開になる年には豊作が期待された。桜文様。確かに花びらは米粒にも見える!
今回の手まりは「昼桜」と「夜桜」二つの対比する手まりを作っていきました。
儚げな薄い桜色の花びらを昼桜に、濃艶な赤紫色の色を夜桜に。
むら染めした糸が活躍してくれました。
今回は絹糸も混ざっていて、草木染め綿糸との風合いとの混ざりも面白い効果に仕上がったと思います。
苦労はあったのですが新しい素材との出会いになった予感です。
絹糸選びに私たちの大好きな京都の糸屋さん Art Fiber Endoさんがアドバイスをくれました。いつも私たちを勇気付けてくれる本当に大きな存在です。ありがとうございました。
さて、みなさま、桜はこれからが季節。別れ、出会い、終わり、始まり。
少し心が落ち着かない時ですが、どうか「今」に集中してみてください。
既に心には、桜が満開かもしれませんよ。